
「先代から会社を引き継ぐことになったけれど、工場の機械が古くてこのままでは戦えない。でも、新体制のための設備投資や店舗リフォームに回せる資金がない……」
親族内での承継や従業員承継を控えた新経営者様にとって、引き継ぎ後の資金調達は大きな課題です 。
そんな皆様の背中を強力に後押ししてくれるのが、事業承継・M&A補助金の「事業承継促進枠」です 。
現在公募中の最新「15次公募(2026年6月19日~2026年7月24日締切)」では、通常最大800万円(賃上げ達成で最大1,000万円、廃業費併用なら最大1,300万円)の大きな資金サポートが受けられます 。
本記事では、最新の公募要領に沿って補助金の仕組みと自社が対象になるかの見分け方をやさしく解説します 。


目次
事業承継・M&A補助金 事業承継促進枠とは

事業承継・M&A補助金の「事業承継促進枠」とは、一言で言えば、社長が交代するタイミングで、新しい跡継ぎが
と決意して行う取り組みを応援してくれる国の制度です。
通常、会社の代表者が交代したからといって、国から数百万円〜一千万円以上もの大金がもらえることはありません。
しかし、現在の日本は、中小企業の「後継者不在による黒字廃業」が深刻な社会問題となっています。地域の雇用や、長年培われた確かな技術を次世代へ実直に繋いでもらうため、国はこの「引き継ぎのタイミング」を狙って、破格の資金サポートを用意しているのです。
この枠の最大の特徴は、単に経営のバトンを引き継ぐだけでなく、「新社長が会社を強くするために行う投資」が対象になる点にあります。たとえば、以下のような現場のリアルな挑戦がすべて補助金の対象になります。
親から工場を継いだ新社長が、「先代がずっと使っていた30年前の古くなった機械では、もう取引先の高度な要求に応えられない。思い切って最新の工作機械を導入して、生産性と精度を一気に上げよう!」と決意して機械を買う。
老舗の店舗を引き継いだ後継者が、「味は確かだけど内装が古くて若い客層が入りにくい。お店をおしゃれに全面リフォームして、今の時代に合う空間にしよう!」と改装工事をする。
これまで職人の「勘と手書きのノート」に頼っていた会社を従業員が継ぎ、「業務を効率化して残業を減らすために、新しい生産管理システムを導入しよう!」とデジタル化を進める。
このように、新しい若い社長が「自分の代になったからには、もっと会社を良くするぞ!」と前向きに挑戦するロケットスタートを、国が多額の資金でバックアップしてくれるのが「事業承継促進枠」なのです。
「事業承継促進枠(15次公募)」の概要まとめ

「うちの会社が申請したら、いくらもらえるの?」
「何にお金が使えるの?」
という疑問にお答えするため、最新の15次公募要領から絶対に知っておくべき基本情報を分かりやすくまとめました。
1. 補助される「金額」と「割合」
事業承継促進枠でもらえる補助金の金額は、会社の規模や取り組みによって以下のように決まります。
▶通常
最大800万円
▶賃上げを行う場合
最大1,000万円(一定の賃上げ要件を達成すると上限が引き上げ)
▶廃業を伴う場合
最大1,300万円(既存の店舗や事業をたたむ「廃業費」を併用する場合、最大300万円が上乗せ)
▶小規模事業者
2/3以内
▶中小企業
1/2以内
2. 対象となる主な「使い道(経費)」
新社長が進める「会社のアップデート」に必要な経費が、幅広く対象として認められています。
| 設備費 | 国内の店舗・事務所等の工事、国内で使用する機械器具等調達費用 |
| 産業財産権等関連経費 | 補助対象事業実施における特許権等取得に要する弁理士費用 |
| 謝金 | 補助対象事業実施のために依頼した専門家等に支払う経費 |
| 旅費 | 販路開拓等を目的とした国内外出張に係る交通費、宿泊費 |
| 外注費 | 業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費 |
| 委託費 | 業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費 |
3. 応募するための「主な要件」
最低限、以下のスケジュールと条件をクリアしている必要があります。
- 申請締切:2026年6月19日(金)~2026年7月24日(金)17:00まで(電子申請システム「jGrants」での手続きが必要です)
- 対象となる承継の時期:原則として、2026年7月24日〜2031年7月23日までの間に、実際に代表者の交代(事業承継)を行っている、または行う予定であること。
【シミュレーション】補助金を使うと、後継者の負担はここまで減る!

文字や表だけではイメージしにくい「補助金の実感」を、具体的な例(シミュレーション)で見てみましょう。
今回は、親から町工場を引き継いだ、従業員15名の小規模な製造業(A社)のケースを想定します。
新社長は、取引先からの高精度な加工要求に応えるため、総額1,200万円の最新工作機械の導入を決意しました。
もし、補助金を使わずに全額自社で負担する場合と、今回の「事業承継促進枠」を活用できた場合では、手元に残る資金にこれだけの差が生まれます。
💰 1,200万円の機械を導入したA社のシミュレーション
| 項目 | 補助金なし(全額自社負担) | 補助金あり(事業承継促進枠) |
| 機械の購入総額 | 1,200万円 | 1,200万円 |
| 国からの補助率 | なし | 2/3(小規模事業者の場合) |
| 国から戻ってくる金額 | 0円 | 800万円(補助上限額) |
| 最終的な自社の実質負担 | 1,200万円 | 400万円 |
💡 ここがポイント!
補助金を使わなければ1,200万円まるまる会社から現金が消えてしまいますが、補助金を賢く活用すれば、実質400万円の負担で最新設備を手に入れることができます。差額の800万円はそのまま会社の手元キャッシュとして残るため、新体制での採用活動や原材料の仕入れ、マーケティング費用など、他の重要な運転資金に回すことができるのです。
これだけのキャッシュが手元に残るか残らないかは、引き継いだばかりの新社長にとって、その後の経営の「攻めやすさ」や安心感を180度左右すると言っても過言ではありません。「本当はやりたい投資があるけれど、1,000万円超えの出費は足がすくむ……」という後継者の方こそ、使わない手はない制度です。
「事業承継促進枠」申請前に知っておくべき注意点

後継者にとって非常に心強い「事業承継促進枠」ですが、いざ申請に向けて動き出す前に、絶対に頭に入れておくべき注意点が2つあります。ここを見落としてしまうと、せっかくの事業計画が途中で破綻しかねません。
1. お金は「後払い」が鉄則。事前の資金繰り計画が必須
最も勘違いしやすいのが、補助金が振り込まれるタイミングです。「採択されたらすぐにお金がもらえる」わけではありません。
まずは自社の自己資金や銀行からの融資を使って、機械の購入費用や工事代金を「全額」一度支払う必要があります。その後、予定通りに事業が終わったことを国に報告し、厳しい書類検査を経て、ようやく数ヶ月後に補助金が口座に振り込まれます。
先ほどのA社の例で言えば、最終的な実質負担は400万円ですが、一時的には1,200万円の現金を用意しなければなりません。そのため、事前に銀行に「つなぎ融資」の相談をしておくなど、事前の資金繰り計画が絶対に欠かせません。
2. 「ただ社長を交代しただけ」では審査に通らない
この補助金は、要件を満たしていれば誰でも100%もらえる「給付金」とは異なり、提出した事業計画書をもとに合否が決まる「コンテスト形式」の制度です。
計画書の中で、
「なぜ今、この設備投資が必要なのか」
「先代から引き継いだ経営資源を活かして、新社長がどうやって売上を伸ばし、地域に貢献していくのか」
を、公的機関の審査員に分かりやすく、論理的にアピールしなければなりません。
現場で使っている業界の専門用語ばかりで書かれた計画書や、具体性のない「がんばります」といった精神論だけの書類では、技術の凄さや投資の必要性が伝わらず、不採択になってしまうケースが非常に多いのです。
【結論】事業承継はタイミングが命。まずは無料の適合チェックを

ここまでお伝えした通り、15次公募を迎えた事業承継・M&A補助金の「事業承継促進枠」は、先代から会社を引き継ぎ、次世代のイノベーションを起こそうとしている新経営者様にとって、これ以上ない強力な武器になります。
しかし、現場の第一線で日々の業務や組織運営、取引先との交渉に追われる新社長が、通常業務の合間を縫って何十ページもある複雑な公募要領を読み込み、お役所向けの緻密な事業計画書をゼロから書き上げるのは、現実的に簡単なことではありません。
しかも、今回の15次公募の申請締切は2026年7月24日(金)と、残された時間は限られています。補助金の申請は、機械の発注や店舗の工事契約を結ぶ「前」に行わなければならないため、一歩でもタイミングを逃すと、もらえるはずだった数百万円〜一千万円以上の資金を失ってしまうことになります。
だからこそ、私たちは皆様のロケットスタートを最初から最後まで伴走型でサポートしています。
「うちの引き継ぎ時期でも対象になる?」
「考えている機械の買い替えは経費として認められる?」
といった、最初の一歩の疑問で構いません。
まずは自社が補助金を活用できるかどうか、ぜひ一度私たちにご相談ください。